テニス・ダブルスのゲーム分析−九州学生の上位選手と下位選手の比較−

日本体育学会第50回大会号:488,1999


目的
 本研究は、地域学生テニス選手を対象にダブルスのゲーム分析を行い、ポイントに関わる技術を明らかにするとともに、上位選手と下位選手の比較から勝敗に帰因する技術を推察することで、競技力向上のための指針を得ることを目的とする。

方法
 分析の対象とした試合は、1998年8月に行われた、九州学生夏季選手権の男子ダブルス本戦20試合である。サーフェスはクレーコートであった。私案のスコアブックに、ポイントが決まったときの技術とその結果を記録した。
 また、対象とした大会においてベスト8以上に進んだペアを上位選手(以下、上位とする)、それより下の成績のペアを下位選手(以下、下位とする)として、上位と下位が対戦した11試合について、比較を行った。

結果と考察
 対象とした全20試合の総セット数は45セット、総ゲーム数は443ゲーム、総ポイント数は2960ポイントであった。 全ポイントのうち、ボレーで決まったのが1193ポイント(40.3%)、リターンで決まったのが888ポイント(30.0%)で、この2つの技術でおよそ7割を占めていた。男子のダブルスにおいては、2人のプレーヤーがネットにつく平行陣が主流である。そのため、ボレーで決まるポイントが高い割合を示すのは当然の結果といえよう。一方リターンは、テニスの中で2番目に重要な技術といわれており、特に確実性が重要視される。本研究において、全ポイントに占めるリターンミスの割合は約25%であった。リターンに技術向上の余地があると推察される。
 次に上位と下位の比較を行った。対象とした11試合の総セット数は23セット、総ゲーム数は226ゲーム、総ポイント数は1533ポイントであった。
 ボレーとスマッシュで決まったポイントについて、上位は396ポイント中169ポイント(42.7%)がエースであった。それに対して下位のエースの割合は347ポイント中99ポイント(28.5%)であった(図1)。
 ダブルスにおいてポイントを取るパターンは、ネット付近にいる前衛がボレーやポーチ、スマッシュをするというものが基本である。本研究の上位は、ボレー、スマッシュによるポイントの半分近くを得点していることになる。それに対して下位はおよそ3割しか得点できていないことになり、これらのネットプレーにおける決定力に差があると推察される。
 次に、サーブとリターンで決まったポイントについて上位と下位で比較を行った。上位・下位それぞれのサービスゲームにおいて、サーブもしくはリターンでポイントが終わった割合は、上位では41.0%(316ポイント)、下位では41.7%(318ポイント)であった。そのうちそれぞれのサーブ側が得点した割合は、上位は79.1%(250ポイント)、下位は70.1%(223ポイント)であった(図2)。
 テニスのスコアリングシステムは、1ポイントを取る確率が相手よりほんの少し大きいだけで、試合に勝つ確率が断然大きくなるようにできている。サービスとリターンの得点率に、上位と下位の間で約10%の差がみられたことは、サービスゲームのキープ・ブレークに大きく影響すると思われる。

まとめ
 地域学生選手のダブルスにおいては、ネット付近でのボレー、スマッシュによる決定力を高めることと、リターンの確実性を増すことの重要性が示唆された。


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