学生テニス選手の心理的コンディションとパフォーマンスに関する研究

日本体育学会第50回大会号:819,1999


目的
 本研究は、女子学生テニス選手を対象に、心理的コンディションと実際の試合内容との関連について、事例的に検討したものである。

方法
 対象とした試合は、1998年10月に行われた全日本大学対抗王座決定試合(団体戦)であり、レギュラーとして試合に出場した2名の選手(以下、A、Bとする)を分析の対象とした。
 心理的コンディションの測定には、POMSテストを実施した。大会前に3回と当日(2日間)の計5回であった。試合内容は、スコアブックを用いてポイントが決まったときの技術とその結果を記録した。また、試合の内省報告として、毎試合終了後に「今の試合で感じたこと」について自由に記述してもらった。

結果と考察
 AのPOMSプロフィールの変化は、図1の通りである。心理的コンディションが良好であるアイスバーグ型のプロフィールを示していたのは、10/11と10/20であった。また10/16のプロフィールは疲労が高く、活動性も全期間を通じて最も低下している。
 BのPOMSプロフィールの変化を、図2に示す。全体的に活動性は低い値を示しているが、それ以外のネガティブな因子に注目すると、10/20と10/21のプロフィールでは抑うつ・緊張の因子の低下がみられ、アイスバーグ型に近いプロフィールを示しているといえよう。また、Aと同じく10/16のプロフィールでは、活動性以外の5因子が高い得点を示しており、心理的コンディションはよくなかったといえる。
 A、Bともに10/16のプロフィールは良好ではなかった。対象とした大会は選手にとって、年間を通して一番重要な大会である。しかし大会直前のこの時期は悪天候が多く、思うように練習を行えなかった。さらにAにとっては、初めて経験する大会であった。このような要因が重なり、大会直前としては、良好ではないプロフィールを示したと考えられる。
 次に、POMSの変化とパフォーマンスとの関連について検討する。パフォーマンスの評価は、ファーストサーブ(以下、1stとする)の確率、リターンミス率、ストロークのエース率等6項目で行った。
 Aは、特に活動性が高い得点を示した10/11と10/20の試合において、ダブルフォールト(以下、DFとする)率が低く、ストロークのエース率も高い値を示した。また10/20の試合においては、1stの確率やリターンミス率においても良い結果を示した。しかし活動性がやや低下した10/21の試合においても、1stの確率、リターンミス率、ストロークのエース率のそれぞれで良い結果を示した。
 またBは、理想に近いプロフィールを示した10/20と10/21の試合においては、1stの確率が高く、リターンミス率が低い値を示した。また、攻撃回数も他の試合に比べて多かった。DF率については、10/20の試合で最も低い値を示したが、次に良かったのは10/11であった(表)。
 両選手とも、POMSとパフォーマンスのいくつかの項目で正の関連を示していると考えられる。つまり、テニスのパフォーマンスを予測する指標としての、POMSの可能性を示唆しているといえよう。


研究報告MENU

ホーム

鹿屋体育大学テニス部ホームページ