日本体育学会第51回大会号:372,2000
2.研究方法
被験者はA大学テニス部員男子11名、女子10名であった。被験者の競技レベルは、男子は地方学生選手権中位レベル、女子は全国大会出場レベルである。
SVの測定は、スポーツビジョン研究会の示す以下の8項目を行った。
1. 静止視力(SVA)
2. KVA動体視力(KVA)
3. DVA動体視力(DVA)
4. コントラスト感度(CS)
5. 深視力(DP)
6. 眼球運動(OMS)
7. 瞬間視(VRT)
8. 眼と手の協応運動(Acu)
測定の際は、通常テニスを行うときと同じ状態(裸眼、コンタクト、眼鏡等)で行った。
また、被験者の特性として、利き手、利き目、テニス競技年数等についても同時に調査した。男子の平均競技年数は6.27年、女子は9.80年であった。
3.結果と考察
男子選手のSV各項目の平均値と標準偏差、ならびに5段階評定を表1に、女子選手のSV各項目の平均値と標準偏差、ならびに5段階評定を表2に示す。
表1 男子選手のSV各項目の平均値と標準偏差 SVA KVA DVA CS DP OMS VRT Acu M 1.19 0.63 37.85 4.64 8.09 71.45 12.36 89.41 sd 0.30 0.27 0.55 1.57 10.36 3.83 1.91 7.35 5score 3 3 4 2-3 3 2 3 2
表2 女子選手のSV各項目の平均値と標準偏差 SVA KVA DVA CS DP OMS VRT Acu M 1.27 0.85 36.58 5.10 7.40 62.60 12.90 93.65 sd 0.24 0.24 1.82 1.20 2.50 13.60 3.38 5.71 5score 3 3 4 3-4 4 1 3 1
A大学テニス部員のSV能力は、スポーツビジョン研究会の示した5段階の評価基準によると、男女ともDVAではやや高い評価を、またOMSとAcuでは低い評価を示していることがわかる。
この評価を、堀内の報告のデータと比較してみると、DVAの評価はほとんど変わらないものの、OMSとAcuについてはA大学の方が低い評価を示していた。競技年数について、堀内の報告では明らかにされていないが、競技レベルは、堀内が対象とした大学部員の方が高いレベルにあった。この点がテニスにおいて特に重要なSV能力といえるのかもしれない。今後さらに多様なレベルの被験者を多数測定することで、明らかにすることができるだろう。
発表当日は、さらに詳細なデータを示し、テニスにおけるSV能力についての考察を試みる。